レイアウト・色使い・文字で信頼感を高めるコツ

“分かりやすさ”が信頼を築く、弁護士サイトの重要性
「ホームページを立ち上げたい」「既存の弁護士サイトをリニューアルしたい」と考えている方は少なくありません。とくに、インターネット経由での集客や情報発信が当たり前になった今、どのように“使いやすいサイト”を構築すればよいのか、頭を悩ませる弁護士・士業の先生方も多いのではないでしょうか。
実際、総務省の「 情報通信白書」によるとインターネット(検索エンジン・SNSなど)の利用率が毎年高まっていることが分かり、あらゆる情報収集の入り口として定着しつつあります。この傾向は当然、法律相談を検討する段階にも当てはまると言えるでしょう。
同白書ではインターネットを通じた情報収集が年々増加し、特にスマートフォン経由の検索が主流になりつつあることが示されています
ここから類推すると、法律相談のニーズがある人も、当然インターネットを活用している割合が高いと推測できます。
こうした流れを受けて、「もっと情報をわかりやすく」「専門性をしっかり伝えたい」と考える弁護士の方が年々増えているのも納得できるでしょう。
そこで今回は、弁護士や士業の先生方に向けて、「使いやすい弁護士サイト」の共通点についてご紹介したいと思います。レイアウト・色使い・文字(フォント)のポイントを押さえるだけで、サイト全体の印象がガラリと変わり、相談者やクライアントとのコミュニケーションがスムーズになります。初心者の方にも分かりやすいように、具体例を織り交ぜながらお伝えしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
※1 参考:「令和4年版 情報通信白書
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/
【検索キーワードと構成設計】レイアウト・色・文字の重要性
1. レイアウトで意識したいポイント
視線の動きと情報の優先順位
ウェブサイトを開いた瞬間、訪問者はまず“パッと目に飛び込んでくる情報”から確認します。たとえばスマートフォンで閲覧するユーザーは、上から下へとスクロールし、興味がなければすぐに離脱してしまいます。
弁護士サイトの場合、最初にどのような情報を目にしてほしいかを考えるのが大切です。多くの先生が「自分のプロフィール(経歴)」「対応分野」「事務所の特徴」などを優先したいはずですから、上部の見やすい位置(ファーストビュー)に要点を凝縮するとよいでしょう。たとえばトップページで「〇〇法律事務所 ○○弁護士(所属弁護士会など)/主に取り扱う分野(交通事故・離婚問題・相続・企業法務など)」をすっきりまとめ、押さえておきたいリンク(詳細プロフィールページ・実績紹介・お問い合わせフォームなど)にスムーズに移動できるようにします。レイアウトが複雑だと、「どのリンクを押せばよいか分からない」「どこに何があるか分かりづらい」という事態につながるため、情報の優先順位をハッキリさせることがポイントです。
スマホファーストのデザイン
また、弁護士サイトの閲覧者はスマホからのアクセスが増えています。スマホから見たときに文字やボタンが大きすぎたり小さすぎたりしていないか、指でタップしやすい導線になっているか、画像や余白が適切に配置されているか──これらの点を意識したレスポンシブ対応は不可欠と言えるでしょう。
2. 色使いで気をつけるポイント
信頼感を与えるカラー選び
法律事務所のサイトでは、「信頼」「誠実」「権威」といったイメージを持たせたいことが多く、青や紺、グレー系の落ち着いた色合いがよく用いられます。もちろん、これらは定番の一例であって、絶対に青系でないといけないわけではありません。ただ、“派手すぎる色の組み合わせ”は専門性を損なうおそれがあり、見る人によっては「軽い印象」や「読みづらい」と感じてしまう可能性があります。そのため、サイト全体で使う色(メインカラー・サブカラー)を3色程度に絞ると、落ち着いた統一感を演出しやすいでしょう。複数のカラーパレットを使いすぎると、ユーザーが重要部分を見失いがちになります。
コントラストで可読性を高める
文字と背景のコントラスト(明度差)も見落とせません。背景が淡い色なら文字ははっきりとした濃い色で、逆に背景が濃い色なら文字を白などの明るい色にして、ストレスなく読み進められる配色にすることが鍵です。とくにスマホ画面で読まれることを考えると、コントラストがはっきりしているほど目が疲れにくいという利点があります。
3. 文字・フォントで差をつけるポイント
法律用語を含む文章だからこそ、読みやすいフォント選びを
弁護士サイトでは、専門用語が多くなる傾向があります。そこに難解な漢字やカタカナ語が連続すると、読み手の負担は大きくなります。したがって、まずはフォント(書体)を見やすいものに統一し、段落や行間に十分なスペースをとりましょう。“可読性の高いフォント”としては、一般的にゴシック系のWebフォント(Noto Sans、ヒラギノ角ゴ Proなど)が多く採用されています。丸みを帯びたものや明朝体を使う場合もありますが、文字サイズが小さいと視認性が落ちやすいです。デザイン会社や制作担当者と相談しながら、**行間(1.5行程度)や文字サイズ(PCでは16px以上、スマホでは14~16px以上)**を意識することで、読みやすさがグッと上がります。
文章量と強調のバランス
法律関連の事例や説明を丁寧に書こうとすると、文章量が増えがちです。しかし、長文が続く場合は、見出し(H2/H3)や太字・改行をこまめに入れて、読み手の理解をサポートする必要があります。強調したいキーワードや数字、結論部分は太字にするなどの工夫で、ユーザーが「ここが大事だな」と理解しやすくなるでしょう。
【記事執筆のポイント】噛み砕き・具体例・USPを織り交ぜる
噛み砕いた表現と具体例が大切
専門家としての情報を伝える際、つい専門用語を並べ立てがちです。「強制執行」「手続的瑕疵」「信託受益権の譲渡」など、一般の方にとっては耳慣れない言葉も多いでしょう。こうした場合でも、一度かみ砕いた表現を挟むことで、読み手が途中で離脱するのを防げます。
たとえば「強制執行」なら、「裁判で勝訴が確定した場合に、相手の財産を差し押さえる手続きを“強制執行”と呼びます」とワンクッション置いてあげるだけで、初心者にも伝わりやすくなります。
ストーリー形式を交える
たとえば、「ある日こんなご相談がありました…」と実例に近い形でストーリーを導入すると、読み手が感情移入しやすくなり、“難しそうな法律の話”でも理解を深めやすくなります。もちろん守秘義務にかかわる内容は避けつつ、プライバシーに配慮して事例を作りこむのも一つの方法です。
USP(独自の強み)をアピール
弁護士サイトは多数存在するため、「どこに依頼しても同じ」ではないことをアピールする必要があります。取り扱う分野や得意分野の提示だけでなく、「こういう想いでクライアントと向き合っています」「この地域密着のサービス体制を築いています」など、人間的な魅力や付加価値(USP:Unique Selling Proposition)を盛り込むと、信頼感や親しみが高まります。
【CTA設計(行動喚起)】相談・問い合わせにつなげる
サイトを訪れたユーザーが次の行動を取りやすくするため、**記事の終盤や目立つ位置にCTA(行動喚起)**を配置するのは鉄則です。具体的には、「まずは無料相談をご利用ください」「こちらからお問い合わせをお待ちしております」といったシンプルなフレーズを、ボタンやバナーで見やすく設置すると効果的でしょう。
さらに、「こんな問題でお困りの方はお気軽に」「事務所の詳しい情報をチェックしたい方はこちら」といった言葉を添えると、ユーザーが目的に合ったリンク先へスムーズに移動できます。「弁護士サイトのレイアウト・色・文字に関する専門ページ」など関連するページがあれば、それらに自然に内部リンクを設けるのもおすすめです。
【内部リンク・サイト全体との連携】関連サービスやコンテンツへの誘導
弁護士・士業のウェブサイトでよく見られるのが、過去の相談事例やコラムページ、所属弁護士の経歴紹介、費用説明ページなどです。どれも重要な情報ですが、単にメニューリストに羅列しているだけだと、ユーザーはどれから見ればよいのか分からずに離脱しがちです。本記事のように、コラムや解説記事の中で自然に内部リンクを配置することで、訪問者が自分の求める情報へスムーズにたどり着けるようになります。たとえば「離婚問題に関する具体的事例はこちらのページで詳しく解説しています」という一文を入れて関連ページへ誘導するなど、サイト内部で回遊しやすい環境を整えてあげましょう。
【掲載後のメンテナンス】法改正や最新動向への対応
最後に忘れてはならないのが、記事を公開した後のメンテナンスです。法律は改正が多く、実務動向も変化しやすい分野です。サイト公開時にいくら最新の情報を載せても、数年後には法改正によって情報が古くなってしまう可能性があります。「情報が古いサイト=信頼できない」という印象を与えるリスクを避けるためにも、定期的に記事を更新して最新の法改正や判例、弁護士会の発表を反映していくことが大切です。さらに、ユーザーからの反応(アクセス解析や問い合わせ状況)を確認しながら改善を重ねることで、サイト自体が長期的な“資産”として育っていくでしょう。
【まとめ】“使いやすい”は“信頼できる”の第一歩
弁護士や士業のサイトで、レイアウト・色・文字のポイントを意識するだけで、サイトの読みやすさと信頼感は大きく向上します。専門性が高いからこそ、情報の見せ方を工夫することでユーザーの「もっと詳しく知りたい」「相談してみたい」という気持ちを後押しできるのです。