うちの事務所にホームページなんて必要?

「うちは昔から紹介案件がメインだし、ホームページなんて別になくても大丈夫じゃないかな」――。

もし今あなたがそう考えているなら、実はそれこそが大きなチャンスの取りこぼしになっているかもしれません。

ホームページと聞くと、どうしてもIT企業や大手事務所向けの話に思えることがあります。

特に、弁護士・士業の世界では口コミや紹介ルートが昔から根強く、「それで十分やっていける」という声もよく耳にします。

しかし、スマートフォンを使ってあらゆる情報を検索するのが当たり前になった今、ネット上で“見つからない”ということは、存在していないも同然と言われるほどの時代になりました。

もちろん、長年培ってきた信頼関係による紹介案件はとても大切です。

ただ、時代の流れとともにその「紹介」自体も様変わりしてきているのはご存じでしょうか。

誰かから「この先生がいいよ」とオススメされても、真っ先にその弁護士の名前をネットで検索して評判や事務所概要を確認するのが、今や当たり前の行動パターンです。

もしそこで公式なホームページが見つからなかったり、情報が古かったりすると、「この先生にお願いして本当に大丈夫かな……」と不安に思われる可能性が高まってしまいます。


特に広告規制の厳しい弁護士・士業の場合、派手な宣伝はできません。

駅看板やチラシで「圧倒的勝率!」「100%成功保証!」などと打ち出せないのはもちろんのこと、過度な比較表現もできないのが現状でしょう。

だからこそ、自身の専門性や事務所の強みを“しっかりと伝えられる場所”としてホームページが注目されているのです。

どのような理念で活動しているのか、どんな分野が得意なのか、相談者のためにどんな工夫をしているのか――
こうした要素を、法律や規制の範囲内で最大限わかりやすく表現できるのが、自分の事務所のホームページなのです。

「それでも“費用対効果”が見えないと踏み出しづらい」という声も、よく耳にします。

ですが、視点を少し変えてみてください。

ホームページは、一度作って終わりではなく、持っているかぎりずっと更新・改善を重ねることで“資産”として機能し続けます。

たとえば、相続法が改正されたり新しい判例が出たりしたときに、タイムリーに情報を追加していけば、「ここは常に最新情報を追ってくれている事務所なんだ」とユーザーからの信頼度も上がります。

検索エンジンに評価されるという点でも、定期的に記事を更新しているサイトは順位が上がりやすい傾向があります。

つまり、作ったら放置ではなく、弁護士であるあなたが“これまでの経験や専門性”を活かしてコンテンツを育てれば育てるほど、ネット上での存在感が増していくのです。


もう一つ大きな魅力は、“思わぬところからの相談”を呼び込むきっかけになることです。

紹介案件だけを待っていると、どうしてもつながる先が限定的になってしまいます。

しかし、検索エンジン経由の問い合わせなら、予測もしなかった地域の企業や個人から相談が舞い込む可能性もあります。

たとえば地元を中心に活動している弁護士が、専門分野の情報を詳しくまとめてホームページに掲載していたところ、遠方の依頼者から「これだけ詳しく解説してくれているなら信頼できる」と連絡が来るケースも珍しくありません。

また、時折メディアの取材や執筆依頼のきっかけになるなど、ホームページが“新しい縁”を運んでくれるかもしれません。


「でも、具体的に何を書けばいいの?」という疑問はごもっともです。

実はそれほど難しいことではありません。
いちばん大事なのは、「この先生に相談してみたい」「この事務所は信用できそうだ」と思ってもらえるように、あなた自身がこれまで培ってきた経験や強みを“わかりやすく”まとめることです。

難しい専門用語を並べるだけでは、かえって敷居の高さを感じさせてしまうかもしれません。

専門家だからこそ知っている情報を、初心者の立場に立って噛み砕きながら、「こんな問題で悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください」と優しく手を差し伸べる形で書き出してみるのです。

事務所の理念やストーリー、依頼者と向き合う上で大切にしていることなどを加えれば、さらに親しみがわきます。

もちろん、弁護士や士業の広告規制の範囲内であることが大前提ですから、誇張表現や比較広告、過度な優位性のアピールは避けねばなりません。

しかしながら、きちんとルールを守れば、専門性や実績を伝える方法はいくらでもあります。た

とえば「年間○○件のご相談実績」や「相続分野に携わって○年」というように、データや数字を交えると信頼感が増しやすくなりますし、過去の判例や事例をシンプルに紹介するだけでも、「あ、こういう分野に強い先生なんだな」と読み手に伝わります。


最後に、ホームページを作るうえで心に留めておきたいのは、仕上がったら“なるべく放置しない”ことです。

ネット上での信頼性というのは、定期的な情報発信や更新によって高まっていく面が大きいからです。

常に最新情報を提供していると、「この事務所は今もちゃんと活動している」という安心感を与えられますし、検索エンジンからも「新鮮なコンテンツがあるサイト」として評価されやすくなります。

ほんの少しのリライトでも、一度読んだ方が再度訪問してくれるきっかけにもなります。

ですから、「作る前に完璧にしなきゃ」と構えすぎずに、まずは基本的な情報を充実させ、定期的に更新する感覚で始めるのが良いでしょう。

もし、「やはり自分には難しそう」「どうやって進めればいいかわからない」という場合は、専門の制作会社やコンサルタントに相談してみてください。

弁護士や士業向けの広告規制を熟知し、あなたの強みを引き出すサイト構築をサポートしてくれるところも少なくありません。

最終的にはホームページの存在が、時間が経つほどに事務所の信頼度と集客力を支えてくれる重要な“資産”になり得ます。

最初の一歩は少し勇気がいるかもしれませんが、実際に始めてみると、「もっと早く取り組めばよかった」と感じる弁護士の先生も多いのです。

いかがでしょうか。ホームページは、ただ“作っておけばいい”というものではなく、あなたがこれまで積み重ねてきた専門知識や実績、人間性をネット上でも表現するための大切な舞台です。
紹介案件だけに頼らず、より多くの方にあなたの事務所を知ってもらい、信頼してもらうための一手として、ぜひ「ホームページを作って、育てる」という選択肢を検討してみてください。

あなたの法律の専門知識を必要としている人たちは、意外と検索エンジンの向こうで待っているかもしれません。

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