独立を見据えた弁護士・士業が“自分専用ホームページ”を持つべき理由

自分専用ホームページ”を持つべき理由

本当に自分用のホームページは必要なの?

「所属する法律事務所のホームページで十分じゃないか」「広告規制もあるし、個人のサイトを作ってもどう活用すればいいのか…」。こんな疑問を抱えている弁護士や士業の方は、意外と多いのではないでしょうか。

実際、法律事務所のホームページには一定の集客効果がありますし、個人の広告表現にはいろいろと規制があるのも事実です。ですから、「わざわざ自分専用のホームページを作成するメリットなんてあるの?」と思われるかもしれません。

しかし、いざ将来の独立を考えると「もっと早くに自分のサイトを持っておけば良かった」と後悔するケースは少なくありません。なぜなら、弁護士や士業が自分の名前や専門分野で“検索”され、見つけてもらうためには、事務所とは別の軸で情報発信していく必要があるからです。

本記事では、自分専用のホームページを持つことの意義を解説していきます。広告規制を気にされる方に向けても、専門性と信頼性を意識したホームページの作り方や、更新による長期的なメリットをお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。

所属事務所のホームページだけでは不十分な理由

事務所サイトがカバーしきれない“あなた自身”の魅力

まずは、「なぜ所属事務所のホームページだけでは不十分なのか?」という疑問にお答えします。大きな事務所であれば、事務所全体の知名度やブランディングがすでに出来上がっている場合が多いでしょう。

ただ、その「知名度」や「ブランディング」はあくまで組織単位のものであって、そこに所属しているあなた個人の強みが十分に伝わっているとは限りません。

事務所サイトに個人のプロフィールページが掲載されていても、紹介文はごく限られた文字数であることが多く、あなたが扱う案件の事例や得意分野、仕事への姿勢、過去の経験などを深く掘り下げる場は限られています。

もしあなたが独立志向を持っているならば、個人としての実績・経験・専門性を積極的にアピールできる媒体が必要になってきます。

また、弁護士や税理士などの士業サービスを探すクライアントは、“どの事務所か”以上に“どの先生にお願いしたいか”を重視するケースがあります。これは、実際に相談や依頼をする際、信頼できる“人”に依頼したいという心理が働くからです。

事務所サイトだけでは伝わらない“あなた自身”の魅力を発信するチャンスこそが、個人ホームページには存在します。

独立を考えなくても、「名前検索」への備えができる

「自分は独立なんて考えていないから、自分用のホームページは不要」と思う方もいるかもしれません。

しかし、実際には独立をするかしないかに関わらず、個人名や専門分野で検索されるシーンは増えています。依頼を検討しているクライアントは、まずネットで「○○弁護士 離婚相談」や「△△弁護士 企業法務」などと検索をかけるものです。

そのときに自分専用のホームページがヒットし、どんな人物でどんな実績を持っているのかが分かると、依頼や相談につながる確率が高まります。

たとえば事務所サイトには、あなたの経歴がざっくりと載っているだけかもしれません。

ところが個人ホームページなら、あなたの実績や得意分野をより具体的に掲載できますし、場合によってはブログ形式で業界の最新情報や専門知識を発信することも可能です。

そうすることで、「この案件はこの先生に相談したい」と思わせるきっかけを生み出せるのです。

独立を考えていない段階でも、個人ホームページを活用すれば、事務所を通した新規開拓にも一役買うでしょう。

そして万が一、将来独立の意向が生まれたときには、それまで運用してきたホームページがそのまま大きな資産になってくれます。

弁護士が自分専用ホームページを作る3つのメリット

1.専門性・経験(E-E-A-T)の強化

Googleでは「E-E-A-T(Experience, Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness)」が重視される傾向が強まっています。これは日本語で「経験・専門性・権威性・信頼性」と訳され、法律や医療など専門知識を扱うサイトにおいて特に重要視されています。

つまり、検索エンジンは「専門的な領域について信頼できる情報かどうか」を厳しくチェックしているということです。

自分専用のホームページを持つことで、過去の取り扱い案件や事例、専門的なコラム記事などを掲載し、あなたがどれだけその分野に精通しているかをアピールできます。

弁護士会や法務省などの公的なデータや統計を引用しながら解説することで、情報の裏付けを示すことも可能です。こうした積み重ねが、ユーザーからの信頼度だけでなく、検索エンジンからの評価アップにもつながります。

2.広告規制を踏まえた“適切なブランディング”ができる

弁護士や士業には、広告表現に一定の規制があります。誇大広告や比較広告、過度な宣伝文句などは好ましくありません。

しかし、だからこそ誠実で適切なアピール方法を工夫できるのが、個人ホームページの強みだともいえます。

事務所とは別枠で、自分の得意分野を客観的事実に基づいて発信し、「こういった案件については実績がある」「こういう風に社会に貢献してきた」という形で自分のスタンスを明示できます。

いわゆる“売り込み”の色が強い表現は避けつつも、独自の経験や強みを伝えることで、他の弁護士や士業にはないUSP(Unique Selling Proposition)を築くことが可能です。

3.将来の独立に向けた“資産”を育てられる

独立を見据える弁護士や士業の最大の課題は、クライアントを継続して集客できるかという点にあるでしょう。

もし自分の名前や専門分野を広めるためのプラットフォームをまったく持っていないと、ゼロからのスタートになってしまいます。

一方で、「web集客 法律事務所 新規開拓」を意識しながらコツコツ更新を続けてきた個人サイトがあれば、独立後も継続的に問い合わせを獲得できる土台になります。たとえば、記事やコラムを定期的に更新し、検索上位に表示されるページを増やしておけば、長期的な集客効果が期待できます。

こうした意味でも、独立を考えていようがいまいが、早めに自分専用のホームページを作成・運用し始めることが、将来的なリスクヘッジになり得るのです。

具体的なホームページ活用シーンと成功事例

ここで、もう少しイメージを膨らませるために、実際にどんなシーンで個人ホームページが活用されるのかをお話ししましょう。

「弁護士 独立」キーワードで検索されたときにヒット

例えば、将来独立を考えている弁護士のAさんは、独立に関する情報を集めようとネットで検索します。

そこで見つかったのが「独立弁護士のための○○」と題したあなたのコラム記事。内容には、実際の独立準備経験や具体的なステップが分かりやすくまとめられており、読者は「なるほど、自分もこういう手順で進めればいいのか」とリアルな情報が得られます。

さらに、あなた自身がどうやって開業準備やweb集客に取り組んだかを紹介していた場合、読者は「この先生は独立経験もあるんだ」「相談してみようかな」と興味を持つかもしれません。

独立する弁護士同士のネットワークづくりが進むと、業務提携や共同案件の相談につながることだってあり得ます。これも、事務所サイトでは実現しにくいメリットです。

利用者(依頼者)向けのマメな情報提供と差別化

もうひとつ、依頼者向けに役立つ情報を発信し続けるケースを考えてみます。離婚問題や企業法務など、あなたが得意とする領域に絞ったコラム記事を定期的に公開していくとしましょう。

法律用語はどうしても難しくなりがちですが、噛み砕いた言葉で「たとえばこういうケースではこうなる」と事例を示しながら解説すると、専門知識のない読者にも分かりやすいコンテンツになります。

数字を使った説明や、法務省や日本弁護士連合会のデータを引用することで、根拠のある解説を提供できるのもポイントです。こうした情報提供が蓄積すると、検索エンジンから見ても「この分野について信頼できる情報源」と認識されやすくなり、検索結果の上位に表示される可能性が高まります

結果として継続的な集客につながり、「この案件はあなたに相談したい」という指名問い合わせが増えるのです。

自分専用ホームページを作る際のポイント

わかりやすさと専門性の両立

弁護士や士業の仕事は専門性が高いため、用語が難しくなりがちです。そこで大事なのは、専門用語の解説を入れたり、具体的な事例を示したりして、読者が迷わないように配慮することです。

たとえば、「会社設立時の定款変更手続き」について書くなら、「そもそも定款とは何か?」というレベルから解説を始めると、興味はあるけれど知識が浅い読者にも優しい記事になります。同時に、条文や裁判例などのソースを引用して、専門家ならではの説得力を備えれば、ただの素人記事とは一線を画せるでしょう。

検索キーワードを自然に散りばめる構成

自分専用ホームページを運営するからには、検索されるキーワードを考慮したタイトルや見出し(H2/H3)の付け方が重要です。

たとえば「web集客 法律事務所 新規開拓」を狙うのであれば、「【法律事務所の新規開拓】web集客で結果を出す方法とは?」といった見出しを設定します。

ただし、あまりにキーワードを詰め込み過ぎると不自然になるので、あくまで文章の流れに沿った形でキーワードを活用するのがポイントです。

USP(独自の強み)を明確に打ち出す

あなたが離婚問題に強いのか、企業法務に強いのか、あるいは刑事事件に特化しているのか――いわゆる独自の強み(USP)をどれだけ分かりやすく伝えられるかが、ホームページの要といえます。これは、所属事務所のホームページには書ききれない部分でもあります。

自分用のホームページでは、強みだけでなく「どんなスタンスで依頼者と向き合っているのか」「なぜその分野に力を入れるようになったのか」といったストーリーを織り交ぜると、あなたならではの魅力が際立ちます。

気になる“弁護士広告の規制”への対応方法

弁護士や士業の場合、広告規制で「やってはいけない表現」が多いのは確かです。たとえば、誇張表現や比較広告、成功報酬を誇大に表すような宣伝はNGです。

しかし、規制があるからといって「ホームページ全体が作れない」「アピールしたら問題になる」わけではありません。重要なのは、事実に基づく情報発信と誇大・比較表現の回避です。

「過去にこういう案件を取り扱った経験がある」「こういう方法で解決へ導いた」など、客観的に裏付けがある情報ならば問題ありません。弁護士会や関係団体が示す指針を確認しながら、倫理規定を順守した上で、専門家としての正確な情報を提供し続けることが大切です。

ホームページ運用後のメンテナンスと長期的活用

法改正や最新動向へのアップデート

法律はもちろん、税制なども定期的に改正があります。こうした最新情報をキャッチアップし、適宜記事を更新することが大切です。せっかく作ったホームページでも放置して古い情報が載ったままだと、読者は「ここは更新されてないんだな」と感じ、信頼性を損なってしまいます。

定期的に情報をアップデートしていると、「このサイトは常に新しい情報を届けてくれる」とユーザーに認識されやすくなり、結果として検索エンジンでの評価も高まります。コツコツ育てていくことで、あなたのサイトが長期的な“資産”になっていくのです。

独立後の事務所サイトとの連携

もし将来、実際に独立した際には、新たに設立した事務所サイトと個人サイトを連携させることができます。メインは事務所サイトとしつつ、個人サイトではよりパーソナルな情報発信を行う。あるいは、その逆を取る形でも構いません。

要は、事務所サイトと個人サイトを「使い分け」できるメリットが大きいのです。事務所ホームページは組織としての信頼感や受付窓口をしっかり示し、個人サイトでは弁護士個人の熱意や専門性をより強く訴求する。両輪で動かすことで、クライアントの獲得チャンスが広がり、リファラル(紹介)も得やすくなるでしょう。

内部リンクや関連記事の活用

個人サイトの中でも、複数のコラム記事を相互にリンクさせて、読者が興味を持ったトピックを深堀りできるようにすると、ユーザーエンゲージメントが高まります。

たとえば、離婚問題の記事の中で「詳しくは財産分与の事例について解説しているこちらの記事へ」と誘導するイメージです。また、別の関連サービスや事務所の紹介ページにもスムーズに流せば、自然な形で内部リンクを使った回遊が期待できます。

こうした内部リンク設計はSEO的にも有利に働くため、サイト全体の評価が高まっていくメリットがあります。

まとめ「自分専用ホームページ」で未来を切り拓く

「所属事務所があるから大丈夫」「広告規制が面倒そう」と思っていた弁護士や士業の方も、実は早めに自分専用のホームページを立ち上げておくメリットが多いと感じられたのではないでしょうか。

いくら事務所のサイトに情報が載っていても、そこにはあなた個人の経験や専門性が細かく反映されているとは限りません。

一方で、個人ホームページを持てば「独立の準備」「web集客 法律事務所 新規開拓」「既存業務の差別化」など、さまざまなメリットが得られます。法改正や広告規制には配慮が必要ですが、それは“誠実な情報発信”を行うことでクリアできます。

弁護士や士業の方々が独立を成功させるための一歩として、自分専用のホームページを活用する選択肢は今後ますます重要になります。ぜひ、“あなたらしさ”を伝える特別なサイトを、一緒に育てていきましょう。

上部へスクロール