継続的なブログ運営が生み出す“新たな顧問契約”

「ホームページやブログを使ってもっと顧問先を増やしたい」「専門性を活かして、得意分野の案件にフォーカスしたい」。

こうした思いを抱える弁護士・士業の方は多いのではないでしょうか。ところが、いざブログを始めようとしても、「忙しくて更新が続かない」「書いてはみたけど反応が薄い……」といった悩みをよく耳にします。実は、“継続的な情報発信”は地味に見えて強力な武器になることをご存じでしょうか? 本記事では、ブログ運営を続けた結果、新たな分野で顧問契約を得るまでに至った事例を元に、弁護士・士業の方々が意識すべきポイントを解説していきます。

続けていたら思わぬ分野から問い合わせが?──ある成功事例

【事例紹介】企業法務メインの事務所が“相続”で顧問契約

都内で企業法務をメインに手がけるB法律事務所(仮称)。代表弁護士は企業顧問を中心に安定した収益を得ていましたが、「個人の相続案件も増やしていきたい」という新たな方針を打ち出しました。そこで、週1回のペースで相続対策の基礎知識や関連判例の解説、実務上のポイントなどをブログで発信し始めたのです。相続専門の税理士や司法書士との業務提携事例を“実体験”として紹介したり、裁判所や法務省が公表するデータを引用してわかりやすく噛み砕いたり――。読み手の不安に寄り添いつつ、専門家らしい視点をバランス良く盛り込んでいました。

なぜ“相続”で?

「企業法務事務所なのに、なぜ相続?」と疑問に思われる方もいるかもしれません。しかし、ある程度規模の大きな企業オーナーや役員の方は、事業承継や個人の相続対策にも強い関心を持ちます。そこでB事務所は、「企業法務×相続」という切り口で新分野を攻める戦略を立てました。

数ヶ月後に舞い込んだ問い合わせ:「相続問題も見てくれるんですね」

ブログ運営を始めて約3~4か月ほど経ったある日、取引先の企業オーナーから「実は親族が亡くなり、相続手続きが複雑になりそう。顧問契約として包括的にサポートしてもらえるか?」という依頼が舞い込みました。

実際には「企業法務のイメージ」が強かったB事務所ですが、ブログで継続的に相続分野の知識を発信していたため、「ここなら安心して任せられそうだ」という信頼を獲得できたのです。結果的に、新しい顧問契約を結ぶこととなり、相続案件の相談数も徐々に増えていきました。

なぜ“継続的なブログ更新”が効くのか?──3つの核心

  1. 【専門性の見える化】
    ブログを通じて、先生方がどんな分野に強みを持ち、どんな経験を積んできたのかを示すことができます。「自分のケースに合いそうだ」「専門家目線で分かりやすく解説してくれる」と思ってもらえれば、遠方からの問い合わせやオンラインでの相談依頼も増える可能性が高まるのです。
  2. 【Googleでの検索上位表示を狙いやすい】
    弁護士や税理士など専門性の高い業界では、ブログ記事の品質が検索結果の評価に大きく影響します。定期的に更新し、最新の情報を提供し続けていると、検索エンジンの信頼度も上がりやすい傾向があります。
    特に「法人相続 顧問弁護士」「相続トラブル 企業オーナー」など、やや長めの複合キーワードでは、しっかりとコンテンツを作り込めば上位表示を狙えます。
  3. 【読者との接点を増やす“積み上げ効果”】
    一度きりの更新ではなかなか目立ちませんが、コツコツと記事を積み上げることで、ホームページ全体のアクセス数や滞在時間が伸びていきます。たとえ読者がすぐに問い合わせしなくても、「どこかのタイミングで相続(または他の分野)について相談したい」と思ったときに、ふとブログを思い出してもらえる可能性が高まります。

ブログ構成とキーワード設計──士業ならではの工夫

【検索キーワードの選定】

  • 主キーワード:
    「相続 顧問契約」「企業オーナー 相続」「弁護士 相続ブログ」など
  • 関連キーワード:
    「事業承継 流れ」「遺産分割協議 手続き」「家族信託 メリット」など

特に相続や企業法務のような分野では、読者が具体的に調べそうな語句を拾い上げ、その悩みを解決する記事を書くことが大切です。

【記事構成:疑問提示→解説→具体例→CTA】

コラム風の記事でも、次の流れを意識すると読みやすくなります。

  1. 疑問提示:相続手続きや事業承継の不安、税務面のリスクなど
  2. 専門的な解説:弁護士の視点からの法的注意点、必要書類や手続きの流れ
  3. 具体例:実際の体験談や仮例、公的データの引用などで説得力を高める
  4. CTA:問い合わせフォームや無料相談、資料ダウンロードへの誘導

記事1本で何もかも語り尽くすのではなく、内部リンクを使って複数ページで読者を回遊させるイメージを持つと、サイト全体の信頼度も上がります。

USPを明確に:差別化ポイントをブログで強調する

弁護士・士業の場合、「幅広い業務に対応可能です」という表現が多くなりがちですが、実はそれだけでは読者の印象に残りにくいもの。新たな顧問契約につなげるには、「どの分野で、どんな強みがあるのか?」を明確に打ち出す必要があります。

  • 労務問題が得意なら、最新の働き方改革関連法や労働判例を踏まえた“ケーススタディ”をブログに載せる。
  • 相続に強いなら、改正相続法(2019年施行)や「家族信託」「遺留分」のポイントを定期的に解説する。
  • 企業法務なら、契約書レビューやコンプライアンス体制構築など、他事務所との差別化ができる領域を深掘り。

上記のように、自分のUSP(Unique Selling Proposition)を裏付ける情報を「これでもか」と出すことで、「この先生に依頼すれば間違いないかも」という納得感が生まれます。

定期的なメンテナンスがカギ:ブログを資産化する方法

【法改正・判例更新へのリライト】

相続や会社法などは法改正や裁判例の変化が頻繁に起こります。公開した記事をそのまま放置しておくと、古い情報が残り続けてしまう恐れも。読者が「ここは情報が古い?」と感じると、せっかくの信頼が損なわれかねません。

年に数回、あるいは新しい法改正があったタイミングで記事を見直し、内容をアップデートすることで“いつ読んでも最新”の価値を提供できるようにしましょう。

【内部リンクで関連記事へ誘導】

ブログ内で「相続登記に関する詳しい流れはこちら」など、関連ページへのリンクを入れておくと、読者が自然に他の記事を読む導線が作れます。特に、「サービス概要」「料金案内」「実績ページ」など、依頼につながりやすいページへの内部リンクは積極的に貼るのがおすすめです。

実際に行動するためのアクションプラン

  1. テーマ選定とキーワード調査:
    まずは自分の強みや得意分野を明確化した上で、Googleなどで関連キーワードを調べ、読者のニーズを把握します。
  2. 執筆スケジュールの確保:
    週1回、月2~4回など無理のないペースを設定し、事務スタッフや外部ライターの力を借りるのも一手です。
  3. 構成案の作成:
    「冒頭の疑問→専門的解説→具体例やデータ→CTA」を柱に、記事ごとの台割(目次)をざっくり書き出す。
  4. 内部リンクの整備:
    サービスページや問い合わせページへのリンクを自然に設置し、読者がすぐ行動できるように。
  5. 定期的なリライト・メンテナンス:
    アクセス解析を見ながら人気記事を深掘りし、新しい情報を追加していく。

【まとめ】“コツコツ”が呼び込むチャンス──まずは一歩踏み出してみませんか?

弁護士・士業の先生方にとって、日々の業務は多忙を極めることと思います。しかし、だからこそ継続的にブログを更新するだけで差がつくというのも事実です。実際に、企業法務を主軸としていた事務所が相続分野で顧問を獲得したり、労務分野に特化した税理士法人がYouTube併用で全国から相談を受けたりと、成功事例が増え続けています。

ホームページやブログは一朝一夕で成果が出るものではありませんが、正しい方向性で続ければ必ず“資産”となるでしょう。「自分に合った形で始めたい」「具体的にどう運用すればいいのか分からない」と感じたら、ぜひ専門家に相談してみるのも一案です。

“継続は力なり”という言葉は、弁護士・士業のWeb集客にも当てはまります。ぜひ本記事を参考に、コツコツ続けるブログ運営を通じて、新たな顧問契約を獲得する一歩を踏み出してみてください。

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